税界タイムス 第102号 2024年12月1日号 Vol.102
記事掲載「税理士が知っておきたいカスハラの基礎知識と対応」より 一部抜粋
★カスハラの基礎知識と対応
カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、顧客等からの著しい迷惑行為によって労働者の就業環境が害されることをいいます。
カスタマーハラスメントが発生すると、本来業務に支障をきたすほど、時間を浪費させられることになり、その対応で他の顧客等へのサービス提供が滞ったり、店の雰囲気が悪化したりするなど、様々な影響が出ることになります。
また、カスタマーハラスメントが頻発すると、従業員のモチベーションは低下し、メンタル不調による休職者や退職者が出てくる可能性があります。これは人材の確保・定着を求める企業にとっては、大きな損失となります。
そのため、カスタマーハラスメント対策は、今や企業が取り組むべき重要課題の一つとなっています。
★カスハラへの対応
企業のカスタマーハラスメント対応では、カスタマーハラスメントに該当するか否かを判断するための具体的言動の洗出し(カスタマーハラスメント対応方針・判断基準づくり)が求められ、この判断基準を現場で共有しておくことが大切になります。
また、カスタマーハラスメントを原因とする紛争では、企業がカスタマーハラスメント対策を講じていたかどうかなど、使用者責任や安全配慮に関する責任が論点(争点)となる可能性があります。
そのため、相談窓口を設置し、定期的に研修を行い、事例を共有し、対応方法を統一しておくなどの仕組みづくりが必要になります。
・顧客等の理解を得るための取組みをしているか
・相談対応フローは確立されているか
・問題解決に向けた仕組みや基準はあるか
・対応方針を決めているか
・相談窓口を設置しているか
・研修を行っているか
≪カスハラ対策≫ ・企業方針を打ち出し、毅然とした対応を取る。 ・警察をはじめ、関係機関や専門家と連携する。 ・カスハラ事案は、複数名で把握する(一人で問題を抱えさせない)。 ・カスハラ対応のノウハウを確立する。 |
★カスタマーハラスメントの判断基準
カスタマーハラスメントの判断基準には、次の2つの視点があります。
・顧客等の要求内容に妥当性はあるか
・要求を実現するための手段・態様が社会通念に照らして相当な範囲か
★妥当性の判断
要求内容の妥当性は、事実関係、因果関係から判断します。
事実関係は、要求の内容や主張する内容が「真実であるか」の確認になります。事実とは、実際に起こったことになるため、揺るぎのないものになります。つまり、事実は一つといえます。
因果関係は、顧客からの要求が根拠のある要求かどうか、自社に過失や商品に瑕疵等がないかを確認します。
自社に過失や商品に瑕疵等が無ければ、顧客の要求は正当なものとはなりません。
つまり、妥当性の判断では、その主張に嘘や偽りがないか、誇張や誇大がないか(話を盛っていないか)を確認します。
≪判断フロー≫
事実関係を把握する
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顧客等が求めている内容を把握する
↓
顧客等の要求内容の妥当性を検討する
↓
要求の手段・態様が社会通念上相当かどうかを検討する
★各種ハラスメント研修を実施しています。また相談窓口の運営をしおります。詳細は、お問い合わせください。